風通しの良い家の物語。建築設計のアドバイスをいたします。お気軽にお問合せください。

トップページ > 建築設計の物語 > 風の通る家の物語
風の通る家の物語

気持ちのいい家

皆さんは「風のとおる家」というとどんな家を想い浮かべますか。田舎の縁側で風に吹かれて昼寝をしたことを思い出した方もいるかもしれませんね。あるいは窓辺のカーテンが風でゆれている光景を思い描く方もいらっしゃるでしょう。いずれにしても気持ちのいい家というイメージではないでしょうか。

夏、高温多湿になる日本では、古来から家は夏を旨としてつくられてきました。クーラーなどない時代では、日差しを遮り、風を通すことが最大の暑さ対策でした。そのため日本の家屋は風が通り抜ける構造になっていました。現代の住宅では、クーラーと気密性の高い家の普及で風通しはそれほど省みられなくなってしまいました。しかし、そのような家だからこそ、風通しが必要とされます。

風通しが悪いとシックハウス症候群やアレルギーなどの原因を誘発します

現在の住宅では、室内の空気はとても汚染されています。一酸化炭素や二酸化炭素、建材などから出る有害化学物質、カビの胞子など実に様々なものが空気中に含まれています。風通しが悪く、気密性の高い住宅ではそれらのものが室内に充満し、ひどい場合にはシックハウス症候群やアレルギーなどの原因となってしまいます。風通しとは健康問題なのです。

夏には、風通しの悪い家は熱がたまりやすいので、クーラーなどに頼ることが多くなります。当然、エネルギーを沢山必要とするわけで、地球温暖化の一因となってしまいます。つまり風通しとは環境問題でもあります。

さらに、風通しの悪い家では結露が起こりやすいため家が痛みやすくなります。木材腐朽菌などが見えないところで繁殖して家を蝕んでいくことも心配されます。阪神・淡路大震災で壊れた木造住宅には、白蟻や木材腐朽菌によって傷んだものが沢山発見されました。風通しが悪いために建物の耐久性がなくなってしまったのです。そう考えると風通しとは安全問題でもあるのです。

風通しの工夫には3つの方法があります

風を通すには3つの方法があります。まず最初は、自然の風力を利用する方法で、風が入るように窓を開けることです。そのためにはその土地の、季節ごとの風の流れ(風の道)をよく知っておくことが必要です。建物や塀、樹木によって風を遮ることも取り入れることもできます。室内に取り入れた風は効果的に流れるようにします。そのためには必ず出口が必要です。入口と出口の位置によっては風が流れないこともあります。また、家具などで風の通り道を塞がないことも大切です。夏などは風の道に座っているだけでとても快適になります。

風を通す2つめの方法は、温度差を利用することです。室内では温かい空気は上にたまります。そうすると天井付近では気圧が高くなって空気は外に出ようとします。逆に床側では気圧が低いため空気は外から入ってこようとします。冬、スキマの多い部屋では、温かい空気は天井の方に登り、人がいる所には冷たいスキマ風が入るのはこのためです。この温度差を利用するには、空気を出すための窓を高い所につけ、取り入れるための窓を低い所につければいいことになります。この高さの差は大きければ大きいほど効果的です。吹き抜けやトップライトをつくり、換気に利用したいものです。

風を通す3つめの方法は、機械を利用することです。台所やトイレ、浴室、洗面所など、臭気や湿気をなるべく早く外に出すために換気扇を利用します。最近では、住宅の高気密化に伴って居室にも換気扇をつけることが多くなりました。機械の利用としては扇風機も役にたちます。冷暖房の熱を循環させるために利用したり、風をあててカビの防止を図ったりすることができます。

空気の質が問題

ところで、風通しを良くすることの必要性は良く判っても、そこを流れる風、つまり空気の質が問題となります。さきほど、室内の空気は有害物質がいっぱいということをお話しました。同じように外の空気もいろいろな有害物質で汚染されています。そのような汚染された空気でも、風として取り入れていいのか、ちょっと心配になります。できれば室内を流れる風はいい空気であってほしいものです。

皆さんはどんな空気が気持ちいいと感じられますか。この質問をすると次のような答えがかえってきました。
・森の中
・朝の空気
・滝のそば
このような場所の空気は確かにすがすがしく気持ち良さそうです。このような空気と、あまり気持ちよく感じない空気との違いはどこにあるのでしょうか。

空気の善し悪しを判断する目安の一つにマイナスイオンというものがあります。気持ちのいい空気とはマイナスイオン濃度が高い状態であり、逆に蒸し暑い空気や誇りっぽい空気はプラスイオン濃度が高いと言われています。空気を汚染している有害物質やカビなどの胞子もプラスイオンに帯電しています。

マイナスイオンの建築での応用

プラスイオンとは俗に悪いイオンとも呼ばれています。酸化作用があり、体内に入ると活性酸素となります。これによって血液が酸性化したり、体の元気がなくなったり、ひどくなると病気になると言われています。
一方、マイナスイオンとは良いイオンとも呼ばれ、酸化還元作用があります。体内の活性酸素を中和し、血液を弱アルカリ化します。そのために体は元気になり、若返ると言われています。

マイナスイオンの建築での応用としては、室内の空気を清浄にする効果があります。マイナスイオンがプラスイオンに帯電した有害物質を中性化して床に落としてしまうのです。同じように悪臭を消す効果もあります。また、プラスイオンに帯電したダニやカビを中性化によって殺してしまう効果もあります。

マイナスイオンを生み出す工夫

このマイナスイオンを、私たちの生活に取り入れるにはどうしたらいいのでしょうか。それにはマイナスイオンがどんな時に発生するかを考えれば答えが見つかりそうです。
さきほどあげた気持ちのいい空気の場所に共通しているのは、水蒸気が発生しているということです。森の中では植物の蒸散作用によって、朝の空気は夜露の蒸発によって、滝のそばでは落下する水の勢いによって、水蒸気が発生しています。マイナスイオンは0.5〜1ナノメーター(1ミリの100万分の1)の水分と結びついています。そのような細かい水分が発生するところが、気持ちのいい空気の所だったのです。

そのような細かい水分をつくることが、気持ちのいい空気を生み出すことにつながるのです。その方法としてここでのテーマである「風通し」があげられます。風が吹くと空気中の水分が小さなクラスターとなり、マイナスイオン化します。マナイスイオンはプラスイオンに帯電した汚染物質や臭気などを中和しますので気持ちがいいのです。特に朝の風はマイナスイオンが多いので、朝、窓を開けて空気を入れると大変に効果的です。

マイナスイオン発生器としての住宅

最近、健康な住宅への関心が高まり、自然素材が見直されています。木や土や紙などの自然素材は有害な物質を含まない他に、湿度の高い時には水分を吸収し、乾燥してくると放出する、すぐれた吸放湿材料でもあります。実はこの放湿のさいにマイナスイオンが発生するのです。風が吹くと放湿を助けますので、ますますマイナスイオンが発生します。つまり、自然素材を使い、風通しに配慮した家とは、それ自体がマイナスイオン発生器となりうるのです。

自然素材として木炭も見直されています。木炭にもすぐれた吸放湿性能があります。また木炭は遠赤外線を出しています。この遠赤外線にも水分を細かくする作用があり、マイナスイオンの発生を助けます。木炭を地中に埋める炭素埋設によって、土地がマイナスオインを発生させるようにすることもできるそうです。

機械で作れるマイナスイオン

マイナスイオンは機械で作ることもできます。マイナスイオン発生装置として販売されています。ただし、イオン式の空気清浄器は数十pの範囲にしかイオンを放出しないのであまり効果はありません。国際規格では1m離れた所で10万個/p以上と決められています。

最近の家庭やオフィスは、電磁波の影響もあって、空気が汚れているばかりでなく、プラスイオン濃度が高くなっています。そのためイライラしたり、体に変調をきたしやすくなっています。そのような時にはマイナスイオン発生装置を使うことによって、気持ちのいい空間とすることができます。また、室内空気汚染でお悩みの方は、一晩の運転で部屋の化学物質の悪臭が消え気持ちいい空気とすることができます。有害物質の発生源をなくす訳ではありませんが対症療法としては効果的です。

  • 設計事務所エコラインのトップページへ
  • 設計事務所エコラインがめざすもの
  • 設計事務所からのアドバイス
  • エコラインのプロフィール
  • エコライン小野加瑞輝の作品集
  • 環境製共生建築作品集
  • 住宅設計作品集
  • 集合住宅設計作品集
  • 店舗設計作品集
  • 歯科医院設計作品集
  • 計画案
  • 防災まちづくり
  • ランドスケープ
  • 建築のものがたり

株式会社エコライン

〒177-0051
東京都練馬区関町北
5-5-8 シェニートモンチーク武蔵関1103
Tel 03-6383-1245
Fax 03-6383-1246