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入りやすい歯科医院とは?

窓は歯科医院の目

目は心の窓と言いますが、窓はその歯科医院がどのような雰囲気かを伝える大切な目の役割を持っているのではないでしょうか。
私は歯医者を選ぶ時、窓や入口から見える雰囲気が入りやすそうなところにしています。清潔感があるかどうか。信頼できそうか。そして、患者さんを迎え入れようという気持ちが伝わってくるかなどが判断の材料になります。開放的でオープンなつくりや、暖かい雰囲気、お花などを飾っているところは好感が持てます。
歯科医院に入ってから、どんな先生が、どんな治療の特徴があるのかを伺い、治療を受けるかどうかを考えます。最初の一歩は、まず入りたいと思うことです。

中が見えない歯医者

昔の歯医者さんは、入口から中が見えないようにしているところが多かったように思います。入口が道路から少し隠れていて、扉のガラスも素通しではなく中が見えないものを使っていたという印象があります。子供の時ですから余計にそのような歯医者さんは怖いというイメージが強く、扉を開けて入る時は憂鬱でしょうがありませんでした。
最近でも高級感を演出している歯科医院では中が見えないようにしているところが多いようです。しかし、入りにくいと思うのは私だけではないでしょう。患者さんのプライバシーを守るということも必要だとは思います。でも見えないようにすることだけが高級感の演出方法だとは思えません。

見える歯医者へ

その点最近の歯医者さんは、待合室を開放的につくって、道路からもよく見えるようにしているところが多くなりました。おかげで入りやすさは格段によくなったと思います。中には待合室越しに診察室も垣間見える歯医者さんもあります。どんな先生がいて、何人くらいのスタッフの方がいるか、インテリアの雰囲気から清潔感や整理整頓の行き届き方……窓からいろいろなことが見えてきます。

美容院から学ぶ

私が最近、お店づくりの点で面白いと思うのは美容院です。美容院も昔は中が見えないお店が多かったように思いますが、最近はほとんどの所が全面ガラス貼になっています。美容師さんもお客さんも道路からよく見えます。

入りやすさを美容院柄学ぶ1

あのお店の作り方はどういうことかと考えると、お店自体をショーウィンドウに見立てているのではないかと思います。つまり働く人もお客さんも、展示されているのです。そうするとどちらも見られていることを意識します。見られるということはプレッシャーになる反面、ある種の優越感を生み出します。見られる快感と言ってもいいかもしれません。人は見られることを意識すると立ち振る舞いが良くなります。それはお客さんも一緒です。

美容院では、積極的にお店の中を見せることにより、何よりも雄弁にお店の広告をし、お客さんもそれに参加する喜びを共有しているのではないでしょうか。昔の美容院の、中をあまり見せないお店づくりから、お店が見えるようにしたことによって、働く人やお客さんの意識まで変えることができたのかもしれません。

ここまで書くと、美容院と歯科医院は違うと反論される方も多いと思います。患者さんは治療中の姿を見られることを望んでいないとも思います。しかし最近、歯医者さんも美容院までとはいかなくてもずいぶんと開放的なつくりが多くなってきたことは事実です。そしてそこに見られる傾向とは、美容院が先取りしたお店のショーウィンドウ化と同じではないでしょうか。物を売る商売と違って、美容院も歯科医院も技術やサービスを提供するのが仕事です。するとその内容を最も雄弁に物語るのが、そこで働く人自身だといえます。多くの言葉を重ねて内容を説明したり、大きな看板を掲げることより、仕事をしているところを見ていただくことが、最大のPR効果を生み出すのです。カリスマ美容師がもてはやされていますが、それも見られることを意識した結果と言えそうです。

見せつつ隠す

開放的な美容院は若い人向けのお店だけだという反論も聞こえてきそうですが、果たしてそうでしょうか。写真は私が設計をさせていただいた美容院です。この美容院は50年以上の歴史を持つお店で、お客さんも長く通っている高齢の方が多いお店です。ご覧のように道路に面して全面ガラス貼にしています。ただ全てを見せる美容院と違うのは、待合コーナーと美容コーナーの間に不透明のガラスのスクリーンを立て、適度に視線を遮っていることです。やはり高齢のお客さんは道路から見られるのはいやがる方が多いということで、このようなデザインにしました。それによって、お客さんは見えないのですが、美容師さんは見ることができます。この見せつつ隠すというバランスが歯科医院でも応用できるのではないかと思います。

入りやすさを美容院柄学ぶ2

フィルムの活用

見せつつ隠す手法として、ガラス面にフィルムを貼ることも効果的です。下の写真は家具ショップの例ですが、白いストライプを印刷したフィルムをガラスに貼っています。1階では1枚、2階では2枚のフィルムを貼っています。写真では中が見えすぎに感じられますが、実際には動く人の姿は見えても、どんな人かまでは判りません。にぎやかな雰囲気だけが伝わってきます。
これをお店の中から見ると、その透明感はさらに低くなります。外の様子が気にならず、買い物に集中できます。待合室は道路からある程度見えるように、診察室は雰囲気だけを伝えたいときなどに、このフィルムを活用することができます。

入りやすさを美容院柄学ぶ3

これをお店の中から見ると、その透明感はさらに低くなります。外の様子が気にならず、買い物に集中できます。待合室は道路からある程度見えるように、診察室は雰囲気だけを伝えたいときなどに、このフィルムを活用することができます。

窓の文字情報

ビルの2階から上にある歯科医院では、看板もさることながら、窓からの情報がとても大切になります。窓から発信できる情報として、まず思い浮かぶのが文字情報です。ただ文字情報は貼りすぎると逆効果になることもあります。量販店などで、ガラスいっぱいに原色の文字を所狭しと並べているところを目にします。量販店ならまだしも、多すぎる文字は歯科医院には不適切なことはすぐにお判りになるでしょう。ところが、以外とこのような歯医者さんも多いのです。いろいろな所から見えるようにと、看板を増やした結果、同じような看板がたくさん並んでいる歯医者さんを見かけることがあります。あるいは外から見えるようにとガラスの文字を大きくした結果、室内からの景色を台無しにしているところもあります。

インテリア

窓からの情報で、もうひとつ大切なのはインテリアの雰囲気です。細かいところまでは判りませんが、暖かみがあるとか、洗練されているというのは窓の外からでも判り、それがとても参考になります。また、機器が見えることで歯医者さんであることが判ります。私が今通っている歯医者さんは、通りすがりに窓からユニット前の天井に設置されたモニターが見えました。最新の歯科医院ではないかと思い入ってみたら、その歯科医院のパンフレットがあり、何を大切にしているかがよく判りましたので、通院することにしました。 別の歯医者さんでは、先生や助手の方々が一生懸命働いている様子が見え、とても好感を覚えました。治療室までは見えなくても受付の女性が見えるだけでも違います。やはり、人が見えることが大切なようです。


株式会社コムネット Together 連載 「いきたくなる歯科医院」より転載

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