カウンセリング室 建築設計のアドバイスをいたします。お気軽にお問合せください。

カウンセリング室

カウンセリング室は必要?

多くの歯科医院ではカウンセリング室はなく、ユニットに座ったまま治療の相談を受けたり、治療方針の説明をしていると思います。これは2つの点から望ましくないと私は思います。
ひとつは患者さんのプライバシーの問題です。治療内容や治療方針など患者さんのプライバシーに係わることが、隣のユニットの患者さんにも聞こえてしまうことが問題ではないでしょうか。
もう一つは、治療内容を説明してもらうのにユニットでは十分に理解できないことです。カウンセリングができるように回転するユニットは別として、普通、患者さんは後ろや横から説明を受けることになります。それも治療室の中という患者にとっては落ち着かない空間で説明を聞いても、それで十分に理解し、判断することができるかどうか。ユニットでの説明は、治療中や治療の後に行われることが多いと思います。治療中に口を開けたまま聞くことになったり、治療の後に麻酔がまだ残こり頭が呆然としたままで聞くことになったりして、冷静に話を聞くことができません。一番難しいのは治療方法が複数あり、自分で判断しなければならないことが多くなったことです。例えばある治療が「難しい」と言われても、治療自体が難しいのか、その治療方法では長く持たせるのが難しいのかが判らない時もあります。複数の治療方法のメリットとデメリット、費用などを言葉だけで判断することは素人には無理な話です。特に高額な自費治療の説明を聞く場合には、さまざまな資料を使いながら説明してもらい、なおかつ判断する時間をいただきたいと思います。
また、説明を聞く時には、説明してくださる方と同じ高さで話ができないと冷静に考えることができません。そういう意味からも、例え狭くてもすべての歯科医院にカウンセリング室が設置されることを願っています。

カウンセリング室の広さ

カウンセリング室の広さは、そこに座る人数によって異なります。通常は患者さんとカンセリングを行う人の2人です。しかし、お子さんや高齢の方で付き添いの方が一緒の場合もありますからつめれば3人座れるスペースがとれるとよい思います。
カウンセリングの机と椅子の配置には4つのタイプが考えられられます。ひとつは対面タイプ。机をはさんで向かい合うタイプです。もうひとつはパソコンのモニターを一緒に見るときなどに便利な一列タイプです。3つめはお互いに斜めに向き合うタイプ。4つめはL型に並ぶタイプです。

カウンセリング室のタイプ

カウンセリング室のタイプ

対面式だと顔をまともに合わせることになります。一列タイプでは相手の表情が見にくくなってしまいます。その点、斜めに向き合うタイプはモニターも表情もよく見えるタイプだと言えます。ただ、対面タイプでも一列タイプでも、身体を少し横向きにすれば斜めタイプ同じようにになります。部屋の配置や広さから決めればよいと思います。
さて、必要な広さですが、人の大きさで決まります。通常の人の肩幅は40〜45cm程度。座るサイズとしては椅子の大きさによって決まり、通常は幅が50〜60cmとなります。ですから3人が座るためには、幅は160〜180cmくらい必要となります。机も同じだけの幅が必要です。机の奥行きは最低でも60cmくらい、できれば80cmくらいは必要となります。この寸法をもとに部屋の大きさを求めると図のようになります。最小限では1.3×1.6m程度の広さがあればカウンセリング室ができることになります。多少ゆったりしたいのであれば1.8×1.6mくらいの広さが必要となります。
下の写真は私どもで設計させていただいた事例です。
もりやま歯科は1.6×1.7mとなっています。3人が座る必要がある場合には小さなスツールを出して対応することにしています。

もりやま歯科のカウンセリング室

山手歯科クリニックでは2つのカウンセリング室があります。一つは一般のカウンセリング室です。患者さんは最初にこの部屋でカウンセリングを受けます。

山手歯科クリニックのカウンセリング室

もう一つの部屋はアメニティルームと名づけられました。広さは1.6×1.9mとやや広めです。自費治療の説明を受けたり、診療後に休憩を取ることができる部屋となっています。

山手歯科クリニックのアメニティルーム

カウンセリング室の雰囲気

カウンセリング室の雰囲気は、医院全体の雰囲気によっても変わります。ただ、カウンセリング室を設置する目的が自費治療の割合を増やすことにあるのでしたら、それにふさわしい雰囲気とすることが求められます。落ち着いて説明を聞くことができる内装であること、相談内容が他の人に知られないことはもちろん、治療の音も聞こえないようにしたいところです。
写真は2つの実例のものです。もりやま歯科では木製のパネルを使った内装としています。山手歯科クリニックでは珪藻土を使っています。机は斜めタイプとして人数に係わりなく座りやすい円形としています。
どちらも照明の光が直接見えないようにダウンライトと間接照明としています。高級感を出すためにはきちんと片付いていることも大切です。2つの事例とも室内に収納があるため、机の上にはものがあまり置かれていません。パソコンのキーボードもテーブルの下に納まるようになっていてすっきりしています。

株式会社コムネット Together 連載 「いきたくなる歯科医院」より転載

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